VoiceGlyph

英語が聞き取れないのは
「消える音」を知らないから

綴りには確かにあるのに、音としては鳴らない——英語では、音が消えることがあります。この記事は、その「消える」変化を実際のYouTube動画の音声つきで確かめていく実例集です。それぞれの例は再生して、速度を落として、繰り返し確認できます。

2026年8月15日 

消える(脱落)の実例

綴りの上には存在するのに、音としては出ない変化です。文末や、次の子音の直前の /t/ /d/ でよく起きます。

most surprisingの例

まずは再生ボタンで音声を聞いてみてください。ロンドンの街頭インタビューで、「イギリスに来て一番驚いたことは?」と質問する場面です。文の前半の most surprising の2語が、どう聞こえるかに注意して再生してみてください。

綴りの上では、「モスト・サプライジング」と言っています。

しかし実際に鳴っている音は、こうです。

most surprising =モーサプラーイズィン

「ト」が消えています。ここで起きていることを、順番に分解します。

  1. most の語尾の /t/ が消える(脱落) — /t/ は、次の「surprising」の /s/ の直前という言いにくい位置にあるため、発音されずに脱落します。「モスト」ではなく「モース」。
  2. 語尾の -ing も「グ」と鳴らない — surprising の語尾は「イング」ではなく「ィン」程度にしか聞こえません。
  3. 単語の境界が消える — その結果、切れ目のない「モーサプラーイズィン」がひとかたまりで通り過ぎます。
most surprising most surprising モーサプラーイズィン

綴りの上に確かにある文字が、音としては存在しない——これが「消える(脱落)」です。/t/ や /d/ は、文末や次の子音の直前でよく消えます。

「モーサプラーイズィン」という音の形を知ったうえで、もう一度カードを再生してみてください。カード内の most surprising をタップすると、その単語の位置から再生されます。

habit formationの例

まずは再生ボタンで音声を聞いてみてください。脳神経外科医へのインタビューで、「勝者になる、何かを達成するには、練習・習慣形成・毎日続けることが必要だ」と語る場面です。中ほどの habit formation の2語が、どう聞こえるかに注意して再生してみてください。

綴りの上では、「ハビット・フォーメーション」と言っています。

しかし実際に鳴っている音は、こうです。

habit formation =ハビッフォーメーション

ここで起きていることを、順番に分解します。

  1. habit の語尾の /t/ がほとんど鳴らない(脱落) — 次の「formation」の /f/ の直前という位置のため、/t/ は口の形だけ作られて音はほぼ出ません。「ハビット」ではなく「ハビッ」。
  2. 単語の境界が消える — 途切れずそのまま「formation」につながり、「ハビッフォーメーション」という1語のようなかたまりになります。
habit formation habit formation ハビッフォーメーション

2語ともよく知っている単語の組み合わせでも、境界が消えると「1語の知らない単語」に聞こえる——脱落が聞き取りを難しくする理由はここにあります。

「ハビッフォーメーション」という音の形を知ったうえで、もう一度カードを再生してみてください。カード内の habit formation をタップすると、その単語の位置から再生されます。

では、どうすれば聞こえるようになるのか

most も surprising も、よく知っている単語のはずです。それでも、会話の中の「モーサプラーイズィン」は聞き取れない。理由は単純で、「モーサプラーイズィン」という音の形を知らなかったからです。さらにやっかいなのは、知らない音は「何か聞き逃した」として通り過ぎるだけで、自分が知らないことにすら気づけないという点です。

だから、やるべきことは2つの段階に分かれます。

第一段階:「知らない」を知る。
聞き取れなかった箇所の音の形を確認して、「自分はこの音を知らなかった」とまず認識することです。この記事での「聞く→知る」は、この第一段階をその場で体験する作りになっています。

第二段階:繰り返して、耳に慣らす。
残念ながら知っただけでは聞こえるようにはなりません。実際の音声を繰り返し聞いて、「知っている音」から「馴染みのある音」に変えていくことが必要です。この段階になって初めて聞こえなかった音が聞こえるようになります。

VoiceGlyph について

私たちは、この2つの段階——音の形を知り、繰り返し聞いて耳に慣らす——を YouTube の上でそのまま行うためのツールを作っています。普段見ている動画で聞き取れない場面に出会ったら、その数秒をカードにして、訳と聞き取りポイントの解説つきで残し、あとから繰り返し聞き直すことができます。この記事に埋め込まれているカードが、実際の画面そのものです——波形の好きな位置から再生して、速度を落として、単語をタップして、納得がいくまで確かめられます。

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その他の音声変化について

カードの音声・静止画は、クリエイティブ・コモンズ(CC BY)ライセンスで公開されている動画からの引用です。各カードにチャンネル名を明記し、元動画の該当場面へリンクしています。