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英語が聞き取れないのは
「化けた音」を知らないから

中学で習った単語ばかりの文が、なぜ聞き取れないのか。多くの場合、原因は単語力ではありません。会話の中では、音が隣の音の影響で別の音に化けているからです。この記事は、その「読める音」と「実際の音」のズレを、実際のYouTube動画の音声つきで集めていく実例集です。それぞれの例は再生して、速度を落として、繰り返し確認できます。

2026年8月15日 

化ける(同化)の実例

早速ですがまずは事例を確認しましょう。

get itの例

まずは再生ボタンで音声を聞いてみてください。コスメのレビュー動画で、話し手が「7月11日まで14ドルで手に入る」と話す場面です。文の中ほどの get it の2語が、どう聞こえるかに注意して再生してみてください。

綴りの上では、「ゲット・イット」と言っています。

しかし実際に鳴っている音は、こうです。

get it =ゲリッ

ここで起きていることは、とても単純です。

  1. get の語尾の /t/ が母音に挟まれる — get の /t/ は、前が e の母音、後ろが it の頭の母音。単語をまたいで、母音に挟まれた形になります。
  2. 挟まれた /t/ が「ラ行」に化ける(同化) — アメリカ英語では、母音に挟まれた /t/ は日本語のラ行に近い音に変わります。「ゲット」ではなく「ゲリ」。

「t」の文字は綴りにあるのに、「ト」の音はどこにもない——他の変化が混ざらない、「化ける」だけが起きた最小の形です。この変化はとりわけ頻度が高く、water が「ワラ」、better が「ベラ」に聞こえるのも同じ仕組みです。

「ゲリッ」という音の形を知ったうえで、もう一度カードを再生してみてください。カード内の get it をタップすると、その単語の位置から再生されます。

put it onの例

化けるをもう1つ。今度は同じ変化が2か所で起きる例です。テレビのレビュー動画で、話し手が「中央マウントなら、小さめのテレビ台にも置ける」と話す場面です。put it on の3語が、どう聞こえるかに注意して再生してみてください。

綴りの上では、「プット・イット・オン」と言っています。

しかし実際に鳴っている音は、こうです。

put it on =プリロン

ここで起きていることを、順番に分解します。

  1. put の /t/ が母音に挟まれて「ラ行」に化ける(同化) — put の /t/ は、前が u の母音、後ろが it の頭の母音。「プット」ではなく「プリ」になります。
  2. it の /t/ も母音に挟まれて化ける(同化) — 同じことがもう1回。it の /t/ が直後の on の母音に挟まれて、「ロ」を作ります。
  3. 単語の境界が消える — その結果、3語の区切りは音の上に存在しなくなり、「プリロン」がひとかたまりで通り過ぎます。

get it と同じ「母音に挟まれた /t/ がラ行に化ける」変化が、1つのフレーズの中で2回起きています。put it on(〜の上に置く)は日常会話の頻出表現なので、この音の形ごと知っておく価値があります。

「プリロン」という音の形を知ったうえで、もう一度カードを再生してみてください。カード内の put it をタップすると、その単語の位置から再生されます。

では、どうすれば聞こえるようになるのか

get it という表現を、知らない人はいないはずです。それでも、会話の中の「ゲリッ」は聞き取れない。理由は単純で、「ゲリッ」という音の形を知らなかったからです。さらにやっかいなのは、知らない音は「何か聞き逃した」として通り過ぎるだけで、自分が知らないことにすら気づけないという点です。

だから、やるべきことは2つの段階に分かれます。

第一段階:「知らない」を知る。
聞き取れなかった箇所の音の形を確認して、「自分はこの音を知らなかった」とまず認識することです。この記事での「聞く→知る」は、この第一段階をその場で体験する作りになっています。

第二段階:繰り返して、耳に慣らす。
残念ながら知っただけでは聞こえるようにはなりません。実際の音声を繰り返し聞いて、「知っている音」から「馴染みのある音」に変えていくことが必要です。この段階になって初めて聞こえなかった音が聞こえるようになります。

VoiceGlyph について

私たちは、この2つの段階——音の形を知り、繰り返し聞いて耳に慣らす——を YouTube の上でそのまま行うためのツールを作っています。普段見ている動画で聞き取れない場面に出会ったら、その数秒をカードにして、訳と聞き取りポイントの解説つきで残し、あとから繰り返し聞き直すことができます。この記事に埋め込まれているカードが、実際の画面そのものです——波形の好きな位置から再生して、速度を落として、単語をタップして、納得がいくまで確かめられます。

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その他の音声変化について

カードの音声・静止画は、クリエイティブ・コモンズ(CC BY)ライセンスで公開されている動画からの引用です。各カードにチャンネル名を明記し、元動画の該当場面へリンクしています。